2010年3月8日月曜日

必死のパッチ

この本は、反則だ。これほどの経験をした人が文章を書くと、どんなフィクションも太刀打ちできない。文庫本になった「必死のパッチ」(桂雀々)を読んだ。以前から気になっていたけど、何故か読まなかった。著者は私と同世代である。それだけに時代背景はわかっているつもりである。でも、著者ほどの境遇を経験した人を私は知らない。
「人生には、ひとつの無駄もない」と言われる。著者もその立場に立っている。必死のパッチで生き抜いたから言えることなのだと思う。食卓に置いていたら、中学生の次男も読んでいた。感想を聞いたら、「すごいなあ」と、SFかコミック本を読んだような顔をして答えた。今の世代にとっては、この物語の時代や背景、生活感は既に「時代劇」の世界なのかもしれない、と気がついた。

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