2009年12月2日水曜日

もひとつSさんのこと


昨日、Sさんのことを書いたら、もうひとつ思い出した。Sさんが、パリの商工会議所の一行を大阪に迎えた時のことである。会場は今のスイスホテル、ミーティングの時間になったがSさんは控え室から出てこない。会場前では秘書が何かを待っている様子。「どないしたんやろ?」と思っていたら、定刻ぎりぎりの時刻にひとりのサラリーマン風の男性が会場に到着し、秘書に包み紙を渡している。それを受け取った秘書が控え室に駆け込み、数分後、何事も無かったかのようにSさんが会場に登場。そして、冒頭の挨拶を読み上げたSさんは、挨拶の最後に原稿に無いことを喋り出された。「私が、今締めておりますネクタイは、御地を訪問した際に、頂戴したものであります」

会議後、秘書から聞いた話に驚いた。当日の昼過ぎ、Sさんは突如、「パリの人に会うならあのネクタイを締める」と言い出されたというのである。ところが、そのネクタイ、通常、東京に保管されており、大阪には無い。「会長、あれは今、東京にありまして、今からはちょっと・・・」と秘書が説明すると、「まだ、夕方まで時間がある。持って来させなさい」と「指示」されたとのこと。その時点で残す時間は4~5時間だったとのことであるが、ネクタイは無事、大阪に届けられた・・・・。

この日は、これでは終わらなかった。そのミーティングの最後、Sさんは立ち上がり、いきなりフランス国歌(だったと思う)ラ・マルセイエーズをフランス語で歌いだされたのである。これにはフランス人もびっくり、やんやの拍手喝采。歌い終わったSさんはご満悦の様子であった。

一事が万事、人を喜ばせるためには全力。真似のできないサービス精神。
会議後、秘書が私に語った言葉が忘れられない「これで、パリの一行に『大阪におもろいおっさんがいた。大阪はおもろいところや』という強烈な印象を残したでしょうねえ。よかった、よかった」
靴で床を叩いてローハイドを唄われることがある、とは聞いていたが、ラ・マルセイエーズとは・・・。
一本のネクタイに心を込めるとは・・・・
これもまた、ええ場面を見せてもろた幸運に感謝である。

0 件のコメント:

コメントを投稿