2009年11月30日月曜日

Sさんと辻静雄、そしてAさん。


中華料理。人数が増えると味わえる種類も増える。誠に家族向きの食事だと思う。それぞれがお皿に盛らないといけないし、そういうところも家庭的だ。

私が過去に食した最高級の中華料理、それは、香港での経験である。まだバブルの「尻尾が」残っていた1990年春のこと、仕事で訪れた「福臨門魚翅海鮮酒家」。もちろん、自分で行った場所ではない。その出張の「団長」であった洋酒メーカーS社のS治K三氏が団員をご案内下さったのである。ただ、「福臨門魚翅海鮮酒家」で食事をしただけならば、多分、私はその経験を思い出すことはなかったであろう。Sさんはスゴカッタ。私の隣に座ったSさんの秘書が和紙の巻物を持っていた。私が興味心から見せてもらうと、その巻物には、毛筆で献立らしきものが書かれてあった。
私「これ今日のメニューですか?」秘書「そうです」私「日本から持ってこられたんですか?」秘書「そうです」私「会長が書かれたんですか?」秘書「違います。辻さんです」
という会話があった。ただ、すごい料理が次々にサーヴィスされるので、巻物のことは暫く忘れていた。燕の巣やら鱶鰭やらナマコやらなんやら、美味しくいただいた。満腹になりデザートが出される頃、また巻物のことが気になって、「辻さんってどなたですか?」と尋ねたところ、秘書の方が「静雄さんです。」との答え・・・・・??ううん??・・・・!!!
私「辻静雄さんって、あの辻調の!!」秘書「そうです」
なんと、この日の、この食事の為に、辻静雄さん自らがこのレストランの料理長宛てにメニューを認めたというのである。もちろん、Sさんからの依頼である。ことほどさように、Sさんはサービス精神が旺盛であり、また「旦那」の空気を有する経営者であった。ついでに、その場にたまたま同席できた私は幸せであった。

閑話休題。先日、信頼するAさんに中華でたいへんなお世話になった。義父の快気祝いを梅田のBという中華料理店で開いた。その際のメニューをAさんにお願いしたのである。素晴らしい内容だった。10品のバランス、組み合わせ、量、全てが最高であった。重病からなんとか回復した義父も全てをいただくことができた。また、義父の笑顔は、我々にとっては最高のごちそうでもあった。Aさんに感謝していたら、Sさんと辻静雄さんのことを思い出した。ずいぶん前のことやけど。(写真は、大学時代に読んだ辻静雄氏の著作。今も大切に蔵書してます。)

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